横溝正史作品と音楽
（旧・角川文庫より）
| タイトル | ページ |
内容 |
| 本陣殺人事件 | ３０ | 一柳家の何代か前の妻女が自ら作曲した「鴛鴦歌」祝言の席で披露（琴） |
| 悪魔が来りて笛を吹く | ７ | この曲はどこかドップラーのフルート曲「ハンガリアン田園幻想曲」に似たところがあるように思われてならぬ。 「悪魔が来りて笛を吹く」はクレッシェンドの部分の物狂わしさにいたってはさながら闇の夜空をかけめぐる死霊の怨みと呪いにみちみちた雄叫びをきくが思い」この題はおそらく木下杢太郎の名詩「波漓問屋」の一節、「盲目が来りて笛を吹く」から転用したものだろう |
| ７８ | 椿家は代々宮廷の雅楽の家。椿英輔はフルート演奏者として一流、生涯の願いはフランスへ行ってモイーズについて習いたいということ。モイーズというのはフルート演奏者としては世界での第一人者。 | |
| 犬神家の一族 | ２５５ | 琴を弾く松子夫人 |
| 夜歩く | ４３ | ピアノを弾く古神八千代 |
| ２１１ | 稲妻が消えるとあたりはまた漆に塗りつぶされたような闇である。その中からとどろく雷鳴吹きすさぶ疾風泣き叫ぶ木々の騒音、篠つく豪雨のひびき、さらびそれにまじって谿流の水音が一種の物凄いシンフォニーをかなでて耳を圧する | |
| 迷路荘の惨劇 | ３７ | 曲はドップラーの「ハンガリヤ田園幻想曲」のようである。「悪魔が来りて笛を吹く」を思い出す。 |
| １４７〜１４９ | 「二番目に吹奏なすったあのはげしいメロディーのは？」「ああ、あれは「熊ん蜂飛ぶ」です」「ああ、そうそうリムスキーコルサオフですね、あれは何分くらいかかります」「せいぜい一分とちょっとというところじゃありませんか」「そうでしょうね、最後のあれはグルックの「精霊の踊り」じゃなかったですか？」（※演奏時間がアリバイになる） | |
| 女王蜂 | ３ | これは中国近代の絃楽器で胴のかたちが満月のように円形をなしているところからこの名がある。 |
| １０ | 琴絵が月琴をいだいてかきならす姿を見たときだれしも桃源郷に遊ぶおもいがしないではいられなかったであろう。 | |
| １２６ | ウエストミンスターの鐘の音 ファ・ソ・ラ・ファ ラ・ファ・ソ・ド | |
| 悪魔の手毬唄 | ４ | 鬼首村手毬唄 |
| ４４ | 離れの小座敷から意外な三味線の音が聞こえてきた。 | |
| ２１３ | 「博多節やの、さのさ節やの、かわりばんこに歌いますのん」 | |
| ２５８ | いろづく枯葉は野末にまいちる 過ぎにし夏の日なごりとどめぬ シャンソンの「枯葉」のようである | |
| ３２１ | 「西条山は霧深し、千曲千曲の河は波あらしいうて、あら、川中島の唄でしたかしらん」 | |
| 三つ首塔 | ８２ | 日比谷公会堂の音楽会へ行く音禰、著名な外国のピアニストの演奏がおこなわれている |
| ２１４ | マンボのリズムをくちずさんでいたが | |
| 悪魔の寵児 | １４７ | 湯浅朱美、ミュージカルの女王。「今夜ここで歌うんじゃありませんか」 |
| 悪魔の百唇譜 | １０１ | 流行歌手 都築克彦 |
| 仮面舞踏会 | ２２９ | 星野温泉、近頃毎年夏になると音楽祭が催されている・・・舞台にはグランド・ピアノがすえてある。四重奏などやるにはお誂えの舞台だった。 |
| ４４６ | 諏訪神社の盆踊り会場から聞こえてきたのが「炭鉱節」 | |
| ４４９ | 「ベートーヴェンを気どられたわけですね」「ムーンライト・ソナタをたっぷり弾いてくださいました」 「三楽章ぜんぶ弾いてくださいました」「ショパンのノクターン三曲」「ショパンのエチュード「木枯し」「革命」」「リストの「愛の夢」 （演奏時間がアリバイ） |
|
| 仮面舞踏会 | ４５２ | ピアノの上にデラクールの楽譜入れ |
| ５７０ | 「楽譜を送っておいただろう、「墓碑銘」という題の交響曲のスコアだ」（音楽学生 田代信吉に向かって） | |
| 白と黒 | ２９９ ３０４ |
青木存義作詞の、どん栗コロコロどん栗コお池にはまってさあたいへん |
| ４７２ | 「オールド・ブラックジョー」宇津木慎策の口笛 | |
| 悪霊島 | １３ | 巡礼唄や和讃の声、そのほかその地にのこる民謡など |
| １４ | ラジオなのだろうか、賑やかな軽音楽の音が風に送られてきてふたりの耳朶にふれた | |
| ４３ | 下津井港は はいりよて出よて まともまきよて まぎりよて 船が着くよ 下津井港 三十五挺櫓の御座船が 下津井節 | |
| １２３ | 崖の上からとつぜん聞こえてきたのは琴の音である | |
| １２４ | はじめは調べをあわせるような音色だったがやがて呼吸があったのか正式な弾奏がはじまった。箏曲に造詣のうすい金田一耕助のことだから曲の名はわからなかったけれどもよくハーモニーされていると思った。つぎの瞬間、それにしょうじょうたる尺八の音がまじってきた | |
| 病院坂の首縊りの家 （上） |
３１２ | 売り出し中の演歌歌手 森ひろし |
| ７６ １６１ |
アングリー・パイレーツ怒れる海賊たちという名のジャズコンポ ピアノ フロリダの風ちゃんこと秋山風太郎 ドラムス テキサスの哲ちゃんこと佐川哲也 トランペット サムソン野郎のビンちゃんこと山内敏男 タナー・サックス マイアミのまあちゃんこと原田雅実 ギター 屁っぴり腰の平ちゃんこと吉沢平吉 ソロ・シンガー コユちゃんこと山内小雪 五人編成の五重奏団ジャズ・コンポ |
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| ２６８ | １９００年代にルイジアナ州のニューオリンズで黒人たちによって創造されたこの軽快な大衆音楽は１９２０年代にはいると広くアメリカ全土を風靡していたようである。 死人はつづらだつづらのうえに 頭のかずは十三人 ヤッホー 飲もうよラムをじゃんじゃん飲もうよ スティブンソンの「宝島」に出てくる海賊の唄である。 |
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| 病院坂の首縊りの家 （下） |
５４ | 法眼鉄也 オペラ歌手志望 バスでも主役がとれる歌劇「フィガロの結婚」 「美穂ちゃんはピアニストが志望なんでしょ」 |
| ７１ | 大きなグランド・ピアノにテレビ、ステレオ、おびただしいレコードは全部西洋のクラシック音楽に関するもの。なかにつけてもオペラの曲が多い。 | |
| １３５ | 銀座でアコーディオンかかえてしがない流し | |
| ３１７ | 「北国の星」流行歌 | |
| 洞の中の女 （金田一耕助の冒険収録） |
６２ | 艶歌師 品川良太 |
| 夢の中の女 （金田一耕助の冒険収録） |
２５２ | シャンソン歌手 本多田鶴子 |
| 悪魔の降誕祭 | ３３ | ジャズ・シンガー 関口たまき |
| ４２ | 長年ピアノの勉強をしていた 道明寺修二 | |
| 湖泥 （貸しボート十三号収録） |
１６ | 隣村のＹ村ではのど自慢大会があった。 |
| びっくり箱殺人事件 | ３８ | 「オペラの怪人」アメリカ製の怪奇映画。「パンドラーの匣」（音楽とは関係ないかもしれません） |
| 不死蝶 | ２３１ | マリさんはあの別館で終始一貫ピアノをひいていた |
| 扉の影の女 | ２５０ | 赤坂のナイトクラブスゥイート・ハートに出ていた若き新進の女性シンガー海野弥生 |
| スペードの女王 | ３２ | にわかにむっと空気がこもるのがわかり、遠くかすかにジャズかウエスタンらしい騒々しい音楽の音が聞こえてきた。 |
| ３４ | オルゴールの音が壁の中から聞こえる | |
| 死神の矢 | ８ | 早苗は意味なくピアノのキイをたたきながら |
| １４８ | ぼんやりマンボを演奏している楽士たちを見ながら | |
| １６８ | 黒ん坊に扮した楽士たち | |
| 壺中美人 | ８ | 急にキイキイした騒々しい音楽がきこえてきた。どうやら支那のメロディーらしい。 |
| 華やかな野獣 | １４ | この例会にいつも招かれるご常連のジャズ・バンドがいま騒々しい不協和音をかきたてている |
| 暗闇の中の猫（華やかな野獣収録） | １６７ | ジャズ・シンガー 江口緋紗子 |
| 毒の矢 | ８ | ピアニスト 三芳欣造、ピアニストだった三芳兼子、声楽家 佐伯達人、恭子のピアノの弟子星子 |
| 黒い翼（毒の矢収録） | ２１５ | レコードに合わせてダンスをしたり流行歌を合唱したり |
| ２５８ | 金田一耕助はピアノのそばへよって人差し指でポンポンとかるく鍵盤を押している | |
| 蝋美人（花園の悪魔収録） | １０６ | 本棚の上においたオルゴールが鳴りだした、曲は「エリーゼのために」 |
| １０７ | あの晩はぼくは窓のそばにすわって早苗さんの弾くピアノをきいていたんです。そのとき母屋のほうからオルゴールの音がきこえていました、曲は「乙女の祈り」 | |
| 蝶々殺人事件 | １８ | 原さくら歌劇団 演出物は「蝶々夫人」 |
| ３４ | コントラバスケース、テナー、バリトン、コンダクター、 「オーケストラの少女」ストコフスキーを気取る |
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| 舜吉の綱渡り | １０３ | 陽気なサキソフォンだのトロンボーンの音が間近の聞えてきた |
| 三行広告事件 | ９１ | 口笛も勇ましく、軍艦マーチを吹きながら走り去った |
| 薔薇と鬱金香 （蝶々殺人事件収録） |
３３３ | 「歌時計鳴りおわるとき」戯曲 |
| ３６９ | かすかな歌時計の音がきこえはじめた雨垂れのように侘びしいオルゴールの音、曲はいうまでもなくアヴェマリヤ | |
| 丘の三軒家 | ６５ | 奥さんの弾ずるピアノの音 |
| ６６ | 五体を縮めなくてはならぬほど荒々しい鍵盤の音 | |
| 花火から出た話 （血蝙蝠収録） |
２４ | 風間はまだ痛む足を引きずってピアノに向かった |
| 空蝉処女 | ６ | 山のあなたの空遠く 幸い住むと人のいう ああ、われひととめゆきて 涙さしぐみかえりきぬ 山のあなたになお遠く 幸い住むと人のいう 上田敏訳カール・ブッセ 美しい歌声が聞こえた |
| 仮面劇場 | ３０ | 女流歌手 甲野由実「春囁き」「燕のように」 |
| 路傍の人（空蝉処女収録） | １６０ | 素人音楽家 青野芳子、慈善音楽会 |
| 音頭流行（誘蛾燈収録） | １８４ | やれ「みやこ音頭」だの、やれ、「あやめ音頭」だの、やれ「道中音頭」だのって、そういう一夜漬けの怪しげな音頭レコードが、じゃんじゃんレコード会社から売り出されて |
| 夜光虫 | ５５ | 指揮者の指揮棒がさっとあがった穏やかな楽の音とともに咽び泣くような甘い柔らかいテノールが。 |
| 仮面城 | ２１８ | そのときちょうど、にぎやかなシンフォニーの音楽とともに、空中大サーカス「幽霊花火」の幕が切って落とされた |
| ２３６ | オルゴールの音は雨だれの音のように「蛍の光」のメロディーを奏でている | |
| 白蝋仮面 | １９２ | 雨だれの音に似た、ものうい、わびしい音楽の音、我にもなくじっときき耳を立ててみると、それは「蛍の光」のメロディーなのである |
| 失はれた影 | 中絶 | 満智子はまたレコードをかけた。レコードは「クカラチャ」 |
| 海様にご協力いただきました、ありがとうございました。 |
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