金田一耕助アートウエーブ


黒猫亭事件

松月
松月の絵 3月26日
夕方になってやっと風が出てきた
打ち水を済ませた玄関
摘んできたばかりの小花が生けてある

夜の客を迎える時刻
大森の山の手にある豪勢な割烹旅館「松月」
薄緑の苔庭から葉擦れの音が聞こえてくるようだ
粋で風雅でどことなく婀娜めいて、
洒落ている離れに男が一人
(長っ!)

伊勢音頭の万野おちかと
風呂から飛び出してきたあだっぽいおせつを振り切るように、
玄関から男が一人入ってきた

今日は日が長い、明り取りからまだ紅の陽が差し込んでくる

パタパタパタ
渡り廊下の奥から聞こえてくる
中学時代の同窓、風間俊六の足音が

リクエスト第37弾 楊華嬢様より
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